2018年04月24日

葵色の花


長く続く晴れた日々に

長く続く細い坂道には

新緑の隙間から淡い光の玉がこぼれる


その脇に建つ家のベランダには葵色の花と

干した白いシャツがそよ風に翻っていた


半透明の空には

気の早い夏の積乱雲に成り損ねた大きめの雲が

ぽっかりと遠くて低い場所にかぶさっている




誰もが何かからやっと解放されたように窓を開け放ち

その表情は初夏の陽射しと同じくらい穏やかだ




”悪いのは誰?”


そうずっと言いながら

自らを省みず利己的な正義を掲げ

感情にまかせ勝ち切ろうとするこの街では

湧き上がる愛をもって解決する人は

もう珍しくなったけれど、

ひと時の憩いに

まるで何事もなかったような平穏な日々が

この道みたいにずっと遠くまで続くような錯覚を覚えた




腰の曲がった白髪の老婆が不意に目の前に現れて

杓子定規な笑みを浮かべ袋小路の小道に消えた


ひらひらと

紋白蝶が老婆を追いかけ路地を曲がる


そのあとで蒸しあがった碧い草の匂いがした・・




それぞれに別々の道を歩んだ末に

今こうしてほんの一瞬だけすれ違っている




少し強い風が吹き抜け

むらさき色の若葉が舞いあがったら

でっかい蝶とでっかい老婆が現れる



それで急に凶暴になり街を破壊するわけでもないが

老婆は紋白蝶を引き連れ

袋小路の奥までずっと進んでゆくのが見えた



何の変哲もないこの街角で

古い井戸が枯れている



老婆はただ寂しげに井戸を覗き込んでいた




求めるばかりで与えられないこの街角でまた水が枯れる




ほんの小さな関わりに

一つのコミュニティーが生まれやがて社会になるが

ただ身の周りに都合のいい者だけかき集め

それ以外は無関心で互いの存在すら気づかないでいる



そしてまた水が枯れてゆく



やがてお祭りが去ったあと

人は孤独になるのだ



もしも孤独を感じるのなら

それは無知の証



人が居ないのなら、

そこには空もあるし花もあるし星だってある

精霊もいれば天使もいる



皮肉なことに、

凛として自然と対話している者には諸々集まり

思惑と感情の中で無理にでもかき集めたような者からは

やがて諸々去ってゆくものだ




ただ上手にできなくて、それで強がって

全然平気なふりをしても本当は

人は皆どこかでつなかりを求めてる




その婆さんは引き連れた紋白蝶と伴に

いつしか巨大化した


まるで自らの存在を知らしめるかのように



老婆は間もなく死を迎えるのだろう

やり残したこととか、言えなかったこととか、

いろいろな想いのなかで・・


それは一見悲しい姿にも視えるが、


たとえばもしも人間に永遠の命が与えられたとしたら

いったいどれくらいの人が喜ぶだろうか?



人はほんの短い命だから頑張れるのではないか?



もしも人生に終わりがないのなら

とてもやっていられやしない



強制で終わらせたくなる人の方が多いのではないのか?




どの路そんなに遠くない将来確実に死ねるのだから

それまでは頑張るし、感動もするし

せめて懸命に善を保とうとする



木々が覆いかぶさって先の見えない坂道の

その長いようで短い道の上で


人はわざわざいがみ合い、

時に嫌な奴になってまで懸命に自らを主張し、

そしてどうしても死にたくないと生にしがみつくものだ



時がくれば死ぬのだから

ジタバタしなくていい



ぜ〜んぶ逆さまの想い違いだったかも知れない



誰もが当然のように死を嫌い避けるものだが、

死が不幸ではなく幸福なことだとしたら・・




いつか死する、その約束ごとに感謝する




それまでは、

できるだけ多くの愛を、幸せを啄ばんで

きるだけ多くの愛を、幸せを

他に与えることだ


時が来ればそれを丸ごとただ次にバトンタッチすればいい


後腐れなく、未練を残さず、すっきりくっきりと





朦朧とした晴天の白い霧の中で

道の上に一羽の鳩が舞い降りる



彼は何かを啄みながらふいに哲学を語る



”現実は壮大に仕組まれた夢”

”死はその夢から覚めること”

“生と死はただ時間と場所と記憶が変わること”






路地裏の枯れ井戸に水が湧き上がるのが視えた


坂道はずっと遠い空まで続いてゆくようだ


新しい命の隙間からこぼれた光の玉のなかを・・





どこか懐かしいような知らない街の

遥かに続く新緑の坂道を歩いてる・・





夢をみた









IMG_0635.JPG








DSC_0054.JPG

グリンピースのヴルーテとグレープフルーツの泡






えんどう豆のカプチーノ.JPG

グリンピースのラテ



題して

”碧い夢”




生のグリンピースがではじめました

グリンピースが嫌いな方は多いようですが・・

それは冷凍のグリンピースを食べているからでは?





















posted by 真中 at 22:36| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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