2016年08月24日

八月の空


久しぶりの台風は関東地方を通りすぎ

追いかける弱い南風からは

残り香のように遠くでうねる潮の匂いがした


八月の湿った風はやがて沈殿し

また次の風がその重たい巨体を動かすまでは

別次元の重力でロックされたように

ずっしりとその場所を湿らせ続ける


沈殿したものは

時々大掛かりな台風が飛来して一気に吹き飛ばし

綺麗さっぱり回収してくれたほうがありがたい




更にこの街には情報の風が氾濫し

そして沈殿して・・


一度台風みたいにすべてを吹き飛ばしてみてほしいけれど

人の営みは自然界のごとくとはゆかないもので

常に正も負も路地裏のアスファルトに堆積し続ける


したがって必要なモジュールだけを

必要に応じて使いこなす

それがスマートな現代人のスタンスで

それを突き動かす原動力には

”欲” 以外のガソリンはいらない
 

目的に対していかに最短距離で到達するか

目的発生から結果奪取までが速いことが肝となる


それには

山のように積みあがった得体のしれない情報群から

必要なものだけを

短時間で嗅ぎ分け引き出さなければならず

そのリテラシーを磨くことが

新しい道を拓くための道しるべとなる


そのとき自然は不要なものだけを

都合よく吹き飛ばしてはくれないのいだから

人はその能力を有能の証として称賛する


それが自在にできるならスムーズにことが進み

一種の知的快感を得られるけれど

そのデジタル思考は物事を深く噛みしめないうちに

上辺だけで理解したつもりになるような

浅はかな思い上りへと繋がりやすい




遠い入道雲はたくさんのものを抱え込み

いずれそれを下界へと降らすけれど

処理しきれない水は逆流してマンホールを押し上げる


やがて大海原へ流れ込み

また蒸発して雲となるころには

風はその雲を違う街の上へ移動させてくれる





太陽はジリジリと照りつけ

向日葵はその太陽を真っ直ぐに仰ぎ見て

蝉たちはギリギリと乱暴に叫ぶうちに

高気圧に乗りながら水蒸気は自動的に上昇し

ポッカリと大きな雲をこしらえて

風はまたゆっくりとそれを移動させる


それが自然界の有効なシステム





自然界は常にアナログのようだ


経過があり連動して必然の結果が生まれる

それをただ素直に繰り返す・・





人間は欲求にまかせて自らに有益なものだけを拾い集め

その高い頭脳はやがて

経過を省略して短時間で結果に結びつける術を備えた

高度な文明を築きあげたけれど

一度抱え込んだものを

移動して再分配する高潔な精神システムを持ち得ないから

いつでも一定の歪みが生まれるのだろうね




奪取することには必死になるけれど

分配するのは嫌なのだ



ただどうやら・・



分配する者には幾筋もの道が拓け

がっちりと抱えこむ者は道が閉ざされる


そういうふう



人の世に降りかかる

人の手では到底変えられない自然の作用は


そういうふう




分配対象はお金や物質に限らず

知識や技術や真心でもある




ここはただただ情報処理に慣れて

それだけで一時的な快感を得られるけれど

心の奥に響くような充足を掴みずらい

なにか大切なものがポッカリと抜け落ちた

空虚で滑稽な街




そして

眩しいほど真っ青な八月の空の真下で

散々この街を揶揄しながらも

決して嫌いにはなれない滑稽な自分も


いまだそこにいるのだから可笑しい












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posted by 真中 at 19:26| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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